奇跡の入学式④

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特別な場所での入学式。
これまで入学式に参列したことのない夫
(4月は仕事がいそがしくて到底休めない)も、
なんとかやりくりして参加しました。

でも実はその前日、

学校ではないその場所で、入学式のリハーサルがあったのですが、
息子は、解散後、どうやって帰ったらいいのかわからず、迷子になりました。

自分がいる場所も地名もわからない中、1ケタとなった充電量のスマホを握りしめ、「そこを動くな」という私の指示を守って立っているのを一緒に探しに行っていた娘が発見したのです。

きっと息子にとっては、気力も体力も使い切った1日だったでしょう。

その翌日の入学式…。

「気力や体力が持つのだろうか?」

そんな不安を抱きつつ、私は会場に向かいました。

これまで撮ったことのない親子3人での入学式の写真。

今、ふりかえると、貴重な一枚になりました。

息子は、写真を撮られることすら断固拒否していた時期が長かったので、
炎天下の屋外で、列に並んでまで入学式の記念写真を撮ることができるなんて、
夢にも思いませんでした。

元気とはいえない様子で、
入学式の看板の側で写真を撮ったあと、
生徒たちの輪におずおずと戻っていった息子。

その姿を見て、「大丈夫なのかな…」と心配しつつも、夫と共に会場内に入りました。

こういうとき、
私が「大丈夫だ!」と無理に思い込むこともせず、
必要以上に心配を膨らませることもなく、
フラットな状態でいられるようになったのは、
これまでの5年半の経験のおかげだとつくづく思います。

ついに、入学式が始まり、
入場してくる他の生徒たちの姿を見て、
なぜか涙が出てきて、自分の子どもの入場する姿を見逃したのは内緒だけれど(笑)

おそらく息子は、必要以上に胸を張ることもなく、
ごく自然体で入場していたのではないかと想像します。
(まだ夫が撮った映像も確認していません…)

この高校の入学式は、高校の入学式にしては内容が濃く、
新入生一人ひとりが高校生活の目標を壇上で発表するという時間がたっぷり取られていました。
(だから準備やリハーサルが必要だったのね)

もちろん我が子が壇上で発表する姿は夢のような一コマだったのだけど、
この時間の中で、もっとも私の胸をチクリと刺したのは
ある男子生徒の発表でした。

「とりあえずまともな環境だと信じてがんばりたい」

と、その子は発表しました。

その言葉を聞いて、私は憤りに近い感情を覚えました。

どんな環境がこの子にこのような発表をさせているのだろう?
いったいこの子はこれまでどんな環境で何度がんばろうとしてきたのだろう?

私の想像にすぎないけれど、
その傷つきと、その健気な気持ちと、その覚悟と、
いろんな思いが詰まった目標だと感じました。

「まともな環境ではない」
と子どもに思わせることは必要ではないと思いました。
さまざまな考えが私の中でグルグルしました。

その後の校長の言葉では、

「これまでどんなことがあったのか、
過去をふりかえることはほとんどしません。

それよりも、
【いつからでもスタートできる】
それが本校の特徴です」

とありました。
厳しくもあり頼もしくもある言葉だなと感じました。

2時間で、
感動もあり、憤りもあり、笑いもあり、
私の心の中はジェットコースターのようにいそがしくて…。

そんな印象的な入学式でした。

式が終わってからも、会場外の炎天下で全体写真などの撮影が行われたため、
解散する頃には、息子は日焼けでじんましんが出ており、
ヘトヘトの様子でした。

「すぐ帰ろう」

と息子が言って、私たちも「うん、そうしよう」と言いました。

ところがそこに息子のLINEが鳴ったのです。

「メシ行く?」

つながったばかりの友達からのLINE。

「さすがに疲れ果てているから、家に帰るんだろうな」
と思っていたら

「メシ・・・、行ってくるかぁ」
ってあっさりと息子は決めてしまいました。

え?
と顏を見合わせた私たち夫婦。

無一文で友達と合流しに歩いて行こうとする息子に
なんとかお小遣いを渡し、

その後、どこに行くのか、何時まで行くのか、なんの情報もないまま
あっという間に息子は行ってしまいました。

つづく・・・

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